自治会長はおもしろい

板津昌且

 平成17年4月に自治会の副会長となり、平成19年4月には自治会の会長を引き受け ることとなりました。以来毎日が極めて多忙な日々を過ごしています。
 自治会としての大きなイベントは4月の総会、それが過ぎて7月最終週の金土両日の 盆踊りと続きます。盆踊りの会場は稗原小学校の校庭です。ここに櫓を組み立て、テン トを組み立て、その他諸々の準備をこなし、盆踊り当日を迎えます。5時頃から、スピ ーカーより盆踊りの曲が流れ、次第に多くの人が会場に詰めかけて来ます。7時〜9時 の時間帯で盆踊りは佳境に入ってゆきます。9時からは後片付けと続き、初日は終了し ます。
 第二日は初日と同じ事を繰り返して、盆踊りは終了します。次の日に櫓の解 体と後片付けにて、完全に盆踊りは終了します。
 準備と後片付けを含めての4日間はそれは必死の思いで働き続けるのであります。ど うしたわけか知りませんが、この4日間疲れたという様子は全く感じません。しかし盆 踊りが終わるとどっと疲れが押し寄せ、今まであまり昼寝をしたことがありませんのに、 昼寝を始めてしまいます。
 さてこの盆踊りは全くの無報酬であり、何の目的をもって自分を駆り立てるのでしょ う。ある近隣の自治会長曰く、「自治会長はおもしろいから引き受けるのだ」と言いました。では何 がおもしろいかといいますと、一つのことを最後まで遣り遂げる事に満足感があるのか もしれません。自治会で言う一つのことというのは、例えば盆踊りでは、盆踊りを通じ て人と人とが知り合いとなることと、子供達の想い出作りになることです。
  我が家は私で四代目ですが、本家は岐阜県の加茂郡にあって、江戸時代初期よりほぼ 毎年、つまり約200年間世襲的に庄屋をやってきた家です。自治会長と庄屋とは似たよ うなものだと思います。庄屋と自治会長とは何が違うかといいますと、庄屋は庄屋給を 貰っていましたが、自治会長には報酬がありません。
 先祖の庄屋の仕事は大変だったようで、記録によると、米を年貢として、長良川の中流 から船で急流を下り、桑名に出て、ここから千石船に乗り換えて、浅草まで行くのです。 浅草で米をおろして、役人に渡すまでの作業が庄屋の仕事です。こんな事を我が先祖達 は約200年間も続けてきたのであります。その胸の内はどうだったのでしょう。我が先祖、 庄屋宇平治が1813年、浅草で役人に米を納めた後に馬で美濃まで帰ってきた記録が残されていま す。役人の手配で、途中の宿場で新しい馬に乗り換え、馬の乗り継ぎをしながら、大事 業を成し遂げた達成感を胸に秘め、中山道の景色を馬上から眺めながら、悠々と美濃まで 帰っていったのでしょう。 (参考原文はここをクリック)
 そう考えると庄屋も自治会長も目的は同じで、何かを成し遂げた達成感を味わえるこ とに喜びを感じ、庄屋や自治会長の職がおもしろいのではないかと思います。
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